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妊娠時の貧血が母体と胎児に及ぼす影響

その立ちくらみに要注意!妊娠中の貧血の症状と対策・治療方法まとめ

 

妊娠期間中に貧血の症状が出やすいのは、妊娠初期である妊娠5週目~12週目ぐらいとされています。これは胎盤環境を整え、胎児の成長を促すために多量の鉄分が必要なためです。つわりの症状が出る時期と同じぐらいになります。

 

妊娠中はつねに胎児に多量の血液を提供しているため、妊娠中期~後期に入っても貧血になる可能性はあります。そのため妊婦さんによって症状が出やすい時期に差がありますので、あくまでもこの時期は目安としてください。

 

鉄欠乏性貧血鉄分不足によって引き起こされるとされる鉄欠乏性貧血は、軽度の場合には深刻に心配する必要はありません。それは妊娠時に胎盤から出るホルモンの影響で一時的に貧血のような状態が作り出されているからです。

 

これは妊娠に伴い体内を循環する血液の量が一時的に増えることが関係しています。血液量は増加していますが、赤血球の総量に大きな変化がないため、血液の濃度は一時的に薄くなります。貧血は赤血球の成分であるヘモグロビン濃度が減少することで起こるため、貧血状態になったように見えるのです。あくまでも生理的な変化なので、重症化しなければ大きな問題ではありません(※1)

 

巨赤芽球性貧血もし葉酸欠乏症によって引き起こされた巨赤芽球性貧血の場合には、葉酸が不足している状態のため胎児の臓器形成阻害や先天性異常につながる可能性があります。ですが実際に葉酸不足によってこの症状が現れるのは巨赤芽球性貧血全体の約2%と言われています (※2)

妊娠時の貧血の前兆・症状一覧とその対策

妊娠時の貧血によって体に表れる前兆と症状をそれぞれ以下にまとめました。

 

【妊娠時における貧血の主な前兆】

・顔色が黄色っぽくなる
・爪の色が白っぽくなる

などが挙げられます(※3)

 

こうした変化は血中に含まれるヘモグロビンが減少することで表れやすくなるため、貧血の変化を観察する時にはポイントとして見られることがあります。

 

【妊娠時における貧血の主な症状】

ここでは貧血の時に表れやすい身体的な症状と精神的な症状を紹介します。人によって症状の度合いは異なりますが、ここでは生活に支障をきたしやすいとされる症状ほど、下の方に記載しています。

身体的な症状

・食欲不振
・動悸、息切れ
・貧血症状(目眩、ふらつき、立ちくらみ等)
・全身の倦怠感や疲労感
・不眠

など

精神的な症状

・情緒不安定(イラつきや不安感など)
・うつ症状

など

 

その立ちくらみに要注意!妊娠中の貧血の症状と対策・治療方法まとめ

こうした症状は基本的に、それぞれの状態に併せて治療を行います。胎児のことを考え、薬による治療ではなく、食事や生活内容を改善することで症状の改善を試みることが多いです。

 

不眠症状や情緒不安定、うつ症状の場合には産婦人科医はもちろん心療内科医や精神科医と十分な相談の上、薬による治療を検討することもあります。

 

貧血の場合には、病院で血液検査を受けて初めて自覚したという人が少なくありません。中には症状が緩やかに進行することで、自覚症状を伴わない場合もあります。そのため、こうした症状が現われた場合には「気のせい」と流さずに、まずはかかりつけの産婦人科医に症状を相談するようにしてください。

妊娠時の貧血の定義と数値・検査方法

貧血は血液中のヘモグロビン濃度が減少している状態と定義されています(※4)。世界保健機構(WHO)が定める、妊娠時における貧血(妊娠貧血)の基準は次の通りです。

 

【WHOによる妊娠貧血の基準(※4)

◆ヘモグロビン(Hb) :11.0g/dl未満
◆ヘマトクリット(Ht):33.0%未満

 

なおWHOが定義している一般成人女性の貧血の定義はHb:12.0g/dl未満、Ht:36.0%未満となっています(※4)

 

その立ちくらみに要注意!妊娠中の貧血の症状と対策・治療方法まとめ

貧血の血液検査は内科や産婦人科で行われます。一般的な検査であるため、健康保険が適用されるため、数万円単位の高額な検査費用を請求される心配はありません。
ただし治療を目的としない検査の場合には全額自費負担となる場合がありますので、必ず検査前に病院へ確認するようにしてください。

 

貧血については血液検査によって以下の項目を確認します。

【貧血時における血液検査の確認事項(※4)

・赤血球(RBC)、Hb、Ht、血小板数、網赤血球
・平均赤血球容積(MCV)、平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)
・白血球(WBC),末梢血液像(WBC分画、血球形態)
・血清鉄、不飽和鉄結合能、血清フェリチン
病院によっては上記以外の項目を検査する場合もあります。

 

もしかかりつけの産婦人科がある場合には、そちらで血液検査を受けられることをおすすめします。検査結果と併せて母体の状況を加味した適切なアドバイスと治療が受けられるからです。

妊娠時の貧血の原因となる生活習慣や食生活とその対策

食生活で改善を目指すことが多い貧血ですが、原因となる食生活にはどのようなものがあるのでしょうか。まずは原因となる可能性がある生活習慣や食生活を紹介します。

 

【貧血の原因となる可能性がある生活習慣や食生活】

その立ちくらみに要注意!妊娠中の貧血の症状と対策・治療方法まとめ栄養バランスが取れていない食生活
その立ちくらみに要注意!妊娠中の貧血の症状と対策・治療方法まとめ好き嫌いの多い食生活(偏食)
その立ちくらみに要注意!妊娠中の貧血の症状と対策・治療方法まとめ暴飲暴食気味
その立ちくらみに要注意!妊娠中の貧血の症状と対策・治療方法まとめ食事がインスタント食品や外食に偏り気味
その立ちくらみに要注意!妊娠中の貧血の症状と対策・治療方法まとめダイエットによる無理な食事制限
その立ちくらみに要注意!妊娠中の貧血の症状と対策・治療方法まとめ激しいスポーツによる鉄分の消費
その立ちくらみに要注意!妊娠中の貧血の症状と対策・治療方法まとめ睡眠時間や食生活が不規則

など挙げられます。

 

その立ちくらみに要注意!妊娠中の貧血の症状と対策・治療方法まとめ

まずは生活習慣を規則正しく整えること、自分の食生活を記録するところから始めてみてはいかがでしょうか。最近は食生活管理のアプリも登場していますので、食べたものを記録することが面倒な人でも簡単に管理することが可能です。記録を通して食事をする時間が確認出来るため、規則正しい生活を送るのにも役立ちます。

 

日常的に激しいスポーツを行っている人も、この機会にスポーツを行う頻度や時間を調整してみてはいかがでしょうか。調整の仕方が分からない場合には、まずは医師と相談されることをおすすめします。

 

栄養バランスや偏りが著しい場合には、栄養士による食事指導が必要となる場合があります。自身の食生活に不安がある人は一度かかりつけ医に相談してみてください。場合によっては、連携病院の栄養士を紹介してもらうなどお願いしてみましょう。

 

最近は食事をInstagramやFacebookに投稿することで食生活を記録している人も少なくありません。写真でこうした記録を残しておくだけでも、医師や栄養士に相談する時の材料の一つになります。

妊娠時の貧血対策に良い栄養素

ここでは妊娠時の貧血を対策・改善するための効果が期待出来るとされる3つの栄養素について紹介します。

 

【貧血の対策と改善に欠かせない栄養素】

貧血の対策と改善に欠かすことのできない成分が、鉄分やたんぱく質、ビタミンCです。これらの成分は吸収しにくい鉄分の吸収率の手助けをしたりするだけでなく、貧血の対策にも欠かせない成分です。

 

鉄分:酸素の運搬、胎児の成長には欠かせない栄養素!

その立ちくらみに要注意!妊娠中の貧血の症状と対策・治療方法まとめ

鉄分は赤血球を作っているヘモグロビンの成分として働きます。ヘモグロビンは体内における酸素の運搬を行うのに必要不可欠です。特に妊娠期には胎盤や胎児の成長に欠かせません。鉄分には動物性食品に多く含まれるヘム鉄と植物性食品に多く含まれる非ヘム鉄の2種類があります。

 

ヘム鉄の方が非ヘム鉄よりも吸収効率が良いとされていますが、食事から摂取される鉄分の多くは非ヘム鉄です(※5)。そのため非ヘム鉄の吸収を高める働きが期待されるたんぱく質やビタミンCと一緒に摂取することが望ましいとされています。

 

ヘム鉄が多く含まれている食材は、豚や鳥のレバー、しじみやあさりといった貝類などです。非ヘム鉄が多く含まれるのは、ひじきや卵、大豆、ほうれん草や小松菜といった葉物類などです。

 

たんぱく質:非ヘム鉄の吸収を助ける働きがある!

その立ちくらみに要注意!妊娠中の貧血の症状と対策・治療方法まとめ

たんぱく質の働きは、筋肉や臓器といった体を作る上での主成分、ホルモンや抗体を作る材料などです。野菜や海藻といった植物性食品に多く含まれる非ヘム鉄と一緒に摂取することで、体内のおける鉄分の吸収を助けることが知られています。また体力が落ちている時期には体の回復を促す上でも重要です。

 

たんぱく質が多く含まれている食材は、牛肉などの肉類、しらすやまぐろなどの魚類、チーズなどの乳製品、卵など多岐に渡ります。

 

ビタミンC:非ヘム鉄の吸収を助ける働きがある!

その立ちくらみに要注意!妊娠中の貧血の症状と対策・治療方法まとめ

ビタミンCの働きには、抗酸化作用や抵抗力を高めることなどが挙げられます。非ヘム鉄と一緒に摂取することで、体内における鉄分の吸収を助けることが知られています。

 

ビタミンCが多く含まれている食材は、ゆずやレモンなどの柑橘類、赤ピーマンやケールなどの野菜類、柿やキウイフルーツなどの果物類などです。

 

造血作用のある栄養素も併せて摂取しましょう!

これらの栄養素と併せて造血作用が期待出来る「ビタミンB6」、「ビタミンB12」、「葉酸」を多く含む食材もおすすめです。ここでは、これらの栄養素が多く含まれる食材について紹介します。

 

ビタミンB6 まぐろやかつおといった魚類、レバー(特に牛に豊富)など
ビタミンB12 しじみやあさりといった貝類、レバー(特に牛に豊富)、いくらやたらこといった魚卵類など
葉酸 ほうれん草やモロヘイヤといった青菜類、グリーンアスパラガス、ブロッコリー、いんげん豆、いちご、バナナ、牛や豚のレバー、焼きのりなど

 

こうした栄養素をバランス良く摂取することにより、食事から貧血予防につなげていくことが可能になります。紹介した栄養素を食事から摂取することが難しい場合には、医師や薬剤師と相談の上、サプリメントと併せて摂取することも検討してみてください。

重度の貧血の場合は速やかに病院へ受診する

重度の貧血の症状が出ているにも関わらず、その症状に気がつかず生活を送っている人は少なくありません。以下のような症状が現れる場合には、速やかに病院を受診されることをおすすめします。

 

【重度の貧血にみられる症状】

日常生活を過ごすのが困難な状況(過度の立ちくらみ、めまい)
顔色が以上に白い

などが挙げられます。

 

鉄分不足に悩む妊娠してる女性

 

当事者からすると不調な状態での生活が当たり前のためか、自分自身では気がつかないことも多々あります。そのため周囲に検査を促されて病院を訪れるケースも少なくありません。中には血液検査の結果、ヘモグロビンの量が通常の半分以下だったためその場で入院をしたという人もいるぐらいです。

 

服薬での治療が可能な場合には、まずは鉄剤を2~3ヶ月ほど服用します。これは鉄剤によって血中の鉄分を増加さるためです。医師にもよりますが、この間は月1回ぐらいのペースで血液検査を行い、鉄分の値の変化を確認します。病院によっては同時に食生活を確認され、必要な栄養素や食材の指導をされる場合もあります。

 

治療期間は使用する薬や治療経過によって異なりますが、スムーズに進めば約2~3ヶ月ほどです。その後も経過観察のため、何ヶ月かは通院することになります。なお金額については処方される薬や検査費用によっても関わってくるため、事前に受診予定の医療機関に確認されることをおすすめします。

まとめ

この記事のまとめ

 

ここでは妊娠時に起こる貧血の症状と貧血の兆候や現れやすい症状を中心に紹介しました。貧血は薬での治療も大切ですが、軽症の場合には食事を変えることで症状の改善が図れる場合もあります。

 

少しでも貧血による不安を感じる場合には、かかりつけの産婦人科医や病院に早めに相談することで早い段階で不安を取り除くようにしましょう。

産婦人科ドクター

 

 

  • 引用文献
  • 参考文献

 

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